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    音春も可愛い。
    「春歌!」
     音也くんの声に、びくっと身体をすくませてしまう。
     申し訳なさと不甲斐なさでいっぱいになって、恋人の顔を見上げることができない。
     だって、こんな風に声をあらげるような人じゃない。
     きっと、わたしが不器用だから、音也くんを怒らせてしまったんだって、
    膝の上に乗せたてのひらをぎゅっと握りしめる。
     頬に触れた体温を、熱いと思った。
     次の瞬間には、その手によってわたしは上を向かされて
    まっすぐな瞳に射抜かれる。
    「俺はそんなに頼りない?」
     感情を、圧し殺すように。
    「春歌には、いっぱい弱いところ見せたと思う。
    でも、そんな俺に、『二人で一緒にがんばろう』って言ってくれたのは、君だよ。
    手の届く距離にいて…」
     彼の両腕が、わたしを引き寄せた。
     強い力で――息が詰まりそう。
    「こうやって抱きしめることができるのに
    どうして君は、寄りかかってくれないの?」
     胸が、苦しくて。
     言葉のかわりに溢れた涙が、彼の胸に当たって服を濡らしていく。
    「……ごめん」
     耳に届く謝罪の言葉と、触れて伝わる、鼓動の音。
     息を吐き出せば、それは嗚咽になって
    そのまま彼の胸に身体を預ける。
    「わた…し…」
     怖かったの。
     苦しみを乗り越えて、どんどん大人になっていくあなたが。
    「音也くん…の…歌が…聴こえなくて」
     置いてきぼりは寂しくて。
    「わたし…音也くんの作曲家でいたいよ…」
     成長できずにいる自分がイヤで、一生懸命頑張ったんだけど。
    「言ってよ…いつだって歌ってあげる。
     君の心に届かない歌が、輝くはずがないんだ」
    「音也くんは、みんなのアイドルだから」
    「そして、春歌のパートナーだよね?」
     まばたきをすれば、涙の粒がぽろぽろと落ちる。
    「泣かないで。春歌…」
     濡れてぼやけた視界で、やっと、あなたの姿を見つけられたの。
    【 2012/08/20 21:25 】

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