スポンサーサイト
    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。
    【 --/--/-- --:-- 】

    | スポンサー広告 |
    那春さん原稿の

    校正なうなう。

    追記で
    息抜き嶺春。

     好きです。と言ったその声は震えていた。
     それを、勘違いだと言って聞かせたのは他でもなく、自分だった。
    「後輩ちゃんは、僕くらいの年齢の異性と
     こんな密接に関わったことがなかったんじゃないかい?」
     こっくりと頷くと、その髪が揺れて、手を伸ばしたくなる。
     頭を撫でたらきっと、はにかんで笑ってくれる。
     それをたまらなく愛しいと思っている癖に。
    「もう一度落ち着いて考えてごらん。
     大丈夫、おにーさんはちゃんと忘れてあげるから」
     そのまま、俯いていて欲しいと思った。
     ひどく傷つけた自覚があったから。
     君の悲しむ顔を見るのがどんなにつらいのか、伝えられたらよかったのにね。

    「嘘つきだよねー…」
     忘れるなんて、できっこない。
     まっすぐに想いを言葉に出来る君が羨ましくて、憧れて、
    名前で呼びたいと、そう願った。
    「春歌……」
     きっと、笑ってくれる。
     嬉しそうに、返事をしてくれるはずだと、
    その情景を思い浮かべては、自嘲する他なかった。

    「先輩…あの、」
    「やや、後輩ちゃん!
     ぼくに何か用かな?」
    「…恋じゃ、なくてもいいです」
     譜面を抱きしめる両手は、力が入っているのか、ひどく白い。
     細く儚いその身体で紡ぎ出す音楽は時に大胆で、時に繊細で。
    「名前もなくていい。でも、ごめんなさい」
     どうして、目を逸らさないんだろう。
    「この気持ちを偽ったらきっと、わたしは曲が書けなくなってしまいます」
     まっすぐに気持ちをぶつけられる君を、どうして拒めるだろう。
    「先輩に、歌って欲しいんです」

     こんなに愛しいと思う気持ちを、
    コントロールしようとしたのがまちがいだったのかもしれないね。

     *

    (おまけ)

    「先輩」
    「んーどうしたの、春歌」
     さりげなく言えたはずだ。
     うん。完璧だった。
     ずっとずっと呼びたかった、君の名前。
     そうしたらきっと君は嬉しそうに笑って、
    返事をしてくれる……って。
    「……!」
     代わりに返ってきたのは、ばさばさと彼女の手から書類がすべり落ちる音。
     真っ赤になってこちらを茫然と見つめる春歌に
    こっちまで照れてしまったよね。
     いやいや、困っちゃったよね。
    「ま…参ったなあ。そんな可愛い顔されると、先輩困っちゃうな☆」
     にっこりアイドルスマイルで、ごまかすしかない。
    「ごめんね、後輩ちゃん!」
    「や…っ」
     咄嗟に伸びてきた手が、ぼくの服を掴む。
     可愛い髪が、ふるふると横に振れる。
     それっきり俯いてしまった君は、ねえ、どんな顔をしてる?
    「春歌。顔をあげて」
     首を左右に振って、頑なに下を向く彼女。
    「君の顔が見れないのなら、ぼくはずっと春歌って呼べないのかな」
     あくまで穏やかに告げれば、
    反射的に顔をあげた春歌の顔は林檎のように真っ赤になっていて
    ぼくの言葉ひとつでこんなになってくれるなんて……可愛いなぁって。
     嬉しさでいっぱいになって。
     それだけで満足かもしれないと思ったのに。
    「…んで…ください…」
    「ん?」
    「名前で…呼んで…」
    「春歌」
    「…っ!」
     こんなに可愛いわがまま。
    「反則だよ…」
     どうやら、名前を呼ぶと、
    ぼくのストッパーも外れてしまうみたいだって
    その時になって、やっと気づいたんだけど。
     その時にはもう、頬にキスをした後で。
    ちょーっと、遅かったよね。
    【 2012/08/07 22:25 】

    | 迷子[うたプリ] | コメント(0) |
    <<すてきすてき。 | ホーム | 本日おさぼり>>
    コメント
    コメントの投稿














    管理者にだけ表示を許可する

    | ホーム |
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。