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    おわ
     ソロ曲に時折、ユニットソングを混ぜて、セットリストの通り、順調にコンサートは進む。
     自身の曲を歌い終わり、歓声に一息吐いた音也は感極まって、
    「俺達のこと好き?」
    と客席に向かい投げかけた。
    「好きー!」
     黄色い歓声が即座に返ってくる。嬉しくなって、口元が緩むのを、敢えてへの字にする。
    「聞こえなーい。」
     嘘。本当は胸いっぱいに響いてる。だけど、今日はいっぱい欲張ってもいいかな。
    「俺達のこと、好きー?」
     2度目の問いかけへ、
    「スキーーー!!!」
    特に赤のシュシュをつけた女子は全力を以て返した。悲鳴にも近い愛情表現に、彼は今度こそ、満面の笑みを浮かべる。
    「俺もみんなのこと、大好きっ!」
     またしても、割れんばかりの歓声が客席を埋め尽くした。
    「おい、「達」が抜けてるっての!」
     浮かれる彼の背中を、翔が叩いた。一部のファンがピギャアと喉を震わせる。
     次に控えるSクラス卒の3名が、待ちきれずに出てきたようだ。。
    「イッキ。次は俺達の番だよ?」
    「早くステージを譲ってください。」
     ため息を吐く姿もまた美しいと、客席でトキヤのうちわを持つ彼女達はスクリーンを凝視する。一一は今日も安定だ。と、発作を押さえるように服の胸元を握りしめる姿もあった。その一方で、一一を見つめるレン様の視線の優しさがピヤアアアアと神宮寺担当が息切れを起こす。会場の熱気は最高潮だ。
     ごめんね。と、反省しているのか、そう見えない笑顔で詫びて、ステージ端へと駆けて行く元同室の、ライバルの背中を目だけで見送り、トキヤはもう一度嘆息した。
     振り返り、客席に向かって大きく手を振って、今度こそスクリーン裏へと消えて行く音也は、言葉の通りファンが大好きなのだろう。無意識のうちに微笑が浮かぶ。そう、こうでなければ、サプライズの意味がない――愛する者に囲まれて彼は、二十代へと踏み出す。大事な節目の瞬間を企画・演出することを誇らしく思う。
     窺う視線に、トキヤは笑った。左のそれは彼の上から、右は彼を見上げ、それぞれが親しみの籠った笑みを返す。水面下で準備は整えてきた。
     後は、時が来るのを待つだけである。
     プログラムは中盤。
     フリートーク。
     それまでは、今宵のお客様に全力のパフォーマンスを披露しましょう。それが、私達の勤めです。



    owaranai
    【 2012/04/09 23:09 】

    | 迷子[うたプリ] | コメント(0) |
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