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    バレンタインイブイブ的な!
    「ただいま、ハルちゃん!」
    ドアを開けて、満面の笑みの那月くんを出迎える。
    「今日もお仕事お疲れさまです。」
    「はい、がんばりました~!」
    にこにこと、笑顔がご褒美を催促します。
    私が彼の手に両手を添えれば、
    那月くんは膝を折って高さを調節してくれる。
    私は赤く染めた顔をぐっと持ち上げて
    冷たい風に吹かれたのでしょう、ひんやりとした頬に
    おかえりなさいと、唇で触れるのです。

    2月も中程。
    「チョコレートですか?」
    私が首を傾げると、那月くんは笑って、はい。と返事をする。
    「もうすぐバレンタインデーだからと、
     女性スタッフの方達からいただきました。」
    彼が紙袋に詰め込まれた義理チョコをひとつずつ取り出して
    テーブルに並べていくのを、私はぼんやりと眺める。
    市販のパッケージはハートを散りばめた可愛らしいものから、
    シックでお洒落なものまで勢揃いしていて
    「見ているだけで、お腹がいっぱいになりますね。」
    その量に、ぽつり。そう溢しました。
    シャイニング事務所はファンの方からの贈り物を断っていますが
    それがなくとも、那月くんに好意を持っている人は沢山いらっしゃるのだと
    目のあたりにして、若干の寂しさが胸に生まれます。
    ぽっかり浮かんだそれを、誤魔化すように
    慌てて笑みを浮かべて、彼の顔を見つめました。
    視線に気づいた恋人は、ふわりと優しい眼差しを向けて
    大きな手の温もりが、私の髪に触れる。
    その心遣いが、すごく嬉しいです。
    「ねえ、ハルちゃん。一緒に食べましょう?」
    彼がチョコよりも甘い声色で微笑むので
    私もつい、頷こうとしてしまいましたが
    「駄目ですよ、那月くん。」
    慌てて首を横に振ります。
    「那月くんに、と渡されたものですから
     ご自分で食べないと。」
    お菓子の数毎に、想いも込められているはずだから。
    真面目な顔でそう伝えると、
    立派な肩をしゅんと落として
    「そう、ですよね。
     ごめんね、ハルちゃん。
     僕、あなたと一緒に食べたらすっごく楽しいだろうなぁと思って。」
    と、那月くんが俯いてしまう。
    その様子に、本当に楽しみにしてくれていたことがわかって
    私は、そっと離れていくぬくもりを両手で捕まえて
    「お気持ちが、とっても嬉しかったです。」
    ぎゅっと握りしめた。

    「私も、バレンタインのお菓子を用意しますから
     その時に、一緒に食べましょう?
     那月くんは何が食べたいですか?」
    言葉にそっと微笑みを添えながら、
    二人に作るのもいいかもしれないと思う。
    きっと、すごく楽しい。
    ――那月くんと、一緒で過ごせることが、嬉しい。
    「那月くんが大好きなクッキーを、たくさん焼くのはどうでしょう?
     色々な味に挑戦してみたら楽しいですよ、きっと。」
    その時のことを想像すると、言葉も嬉々と跳ねて
    我ながら現金だと思いました。
    「それとも、ケーキの方がいいですか?」
    「ハルちゃん、」
    「はい。」
    「僕が口に運べばいいんですよね?」
    「はい?」
    真摯な眼差しに、私は瞬いて、
    彼が机の上の一箱を手に取って示すことでやっと
    理解が追い付きました。
    「そうですね。那月くんが食べるべきだと……。」
    「ハルちゃんに味見してもらいたいと思うのは、悪いことじゃない?」
    「悪くはないと……。」
    私の返事に、那月くんはにっこりと笑った。
    何か、素敵なことを思い付いたのでしょう。
    首をかしげる私に、チョコを手渡して
    「ハルちゃんの手から食べたいです。」
    「えっ。」
    有無を言わせない満面の笑みを浮かべる。
    「はい、あーん。」
    「えっ。えっ。」
    二人だけの室内に、心臓の音が大きく響く。
    勢いに押されて、私は慌ててパッケージを開けた。
    一口サイズのチョコレートが御利口さんに整列していて
    その表面には、粉砂糖がまぶしてあります。
    生チョコでしょうか?
    ひとつを指で摘まみ、彼の口許へと運んだ。

    ぱくん。

    私の指ごと口に含まれて
    驚き、引き抜こうと身を引くと
    肩を掴まれ、引き寄せられる。
    あっという間にキラキラ光る瞳が迫ってきて
    私は反射的に目蓋をぎゅっと結んだ。
    甘いの香り。
    チョコレートが私の口に優しく触れるのを感じる。
    唇に彼のキスを受けながら
    口内に侵入したバレンタイン菓子は
    私と恋人とを行ったり来たりを繰り返すうちに
    熱量で解けて、甘さだけをそこに残す。
    「甘くておいしいですね!」
    那月くんが笑って、
    私の唇についていたチョコを舐め取った。
    「甘過ぎます……。」
    これ以上ないって位顔を赤くして俯く私に
    「もう一個ください。」
    那月くんは容赦がない。
    「まだまだいっぱいありますねぇ。
     ふふっ、全部食べ比べましょうね!」
    「ぜ、全部ですか?」
    改めて机を見返して、くらくらと目眩がする。
    「那月くん、普通に! 普通に食べましょう!!」
    涙目で、手に持つパッケージを恋人の胸に押し付けると
    「普通?」
    彼が四角の形のチョコを取って
    その半分ほどを食み
    じーっとこちらを見つめる。
    「えっ。えっ。」
    「ほうほ?」
    「えっ。えっ。ええっ?!」
    どうぞ、と言われても!
    結局、彼の笑顔に逆らえない私は
    観念して、そのチョコを口で受けとりましたが
    もちろんそれだけで済むはずがなく。
    「どうしたの、ハルちゃん?」
    顔がとっても熱いです。
    チョコみたいに溶けて消えてしまいたいぐらい、
    とってもとーっても恥ずかしいです。
    「わ、私じゃなくてチョコを食べてください~…。」
    「どちらも大好きですから。ね?」
    「ね? じゃあ、ありません……。」
    【 2012/02/11 21:41 】

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