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    今宵僕と夜明けまで - 2
    シンデレラっぽいもの。つづき。

     *

    明るく軽快なリズムにのせて、
    ちょっぴり高飛車に、わがままに。
    口許に笑みを浮かべて、
    時間も忘れ、気ままに奏で続け
    どれ程経過したでしょう。
    最後の一音が室内に溶けて消え、
    ふう。と息をもらしたのと
    「素敵です!」
    拍手と共に、男性の感嘆の声が聞こえたのはほぼ同時でした。
    驚いて、音の方向へ振り向けば
    その人は窓枠に腰掛けた状態で、にっこりと笑顔を見せました。
    私、窓を開けていたでしょうか。と
    春歌は、外から吹き込む夜風がはためかすカーテンを
    呆然とみつめます。
    いいえ。戸締まりはきちんと確認したはず。
    グレーの背広を着用したその男性は彼女の視線を追い、
    「ああ。冷えてしまいますね。」
    と言いました。
    するり。と部屋に降り立ち、窓を閉じます。
    ぱたん。
    風の音が消えて、途端室内が静かになりました。
    少女は震える手を胸の前に集めて
    ぎゅっと握りしめました。
    自分よりもずっと背の高い侵入者を見上げます。
    「あなたは誰?」
    「四ノ宮那月です。」
    彼はそう名乗り、椅子に腰かけたまま硬直する春歌へと
    一歩詰め寄ります。
    「今晩は月がとっても綺麗なんです。」
    「はい。」
    窓ガラス越しに見ても、まあるく優しく灯る、光の美しさはわかりました。
    「月が大好きな僕は嬉しくなって、外に出たんです。
     晴れ渡る空の、星の道を飛んでいたら
     風が、愛らしい音楽を届けてくれました。」
    目の前の笑顔はとても優しくて、
    「ありがとうございます。」
    春歌は生まれて初めての観客に、沸騰しそうな頭をぺこりと下げました。
    「お礼を言うのはこちらですよぉ。
     あなたの紡ぐ音楽の光は、眩い程の輝きで、まっすぐ僕に届いて、
     星の灯りだけでは心もとない夜空を、迷うことなく飛べました。
     ふふっ、僕の心をぎゅっと惹きつけたあの調べを、
     こんなに可愛らしい方が紡いでいたなんて。
     お会いできて光栄です、僕のミューズ。
     どうか、顔をあげて。
     この瞳に、あなたの姿を、表情を映すことを許してくださいませんか?」
    すらすらと述べられる言葉を咀嚼しきれないうちから、
    手を取られ、
    「あなたと巡り合わせてくれた今宵のつきと、
     この手が生み出す音楽に、僕は感謝します。」
    白い手の甲に唇を当てられる。
    春歌はぱくぱくと口を動かしましたが、声にはなりませんでした。
    目が合えば、彼はまたにっこりと笑います。
    「あなたのお名前は?」
    「あ。あの。七海……春歌です……。」
    「可愛いらしい名前ですね! あなたにとてもよく似合っています。」
    少女は無言で首を縦に振ります。その仕草も愛らしく、
    那月は取ったままの小さな手をぎゅっと握りしめました。
    「ねえ、七海春歌さん。あなたの音楽をもう一度、僕に聞かせてくれませんか?」
    春歌が再び頷けば、そっと繋がれたぬくもりは離れていきます。
    胸がどきどきと、自分のものではなくなってしまったように、鳴り響いて、
    その原因である男性から、オルガンへと向きなおっても
    頬の赤みは、なかなか引きませんでした。
    それに、人前で自分の曲を弾くのは初めてです。
    おそるおそる触れた白鍵は普段通りの音階を歌い、彼女を安心させました。
    先ほどの音楽はその場限りのメロディーでしたから、
    全く同じ旋律を辿ることは困難です。
    かわりに、譜面に書き起こしたこともある、自作のスローワルツを演奏することにしました。

     *

    なっちゃんの台詞が気に入らないことこの上ない!
    【 2012/02/06 01:10 】

    | 迷子[うたプリ] | コメント(0) |
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