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    音春さん練習ちゅー
    http://gurux2maigo.blog116.fc2.com/blog-entry-2747.htmlのつづき


    「ありがとうございます。」
    私が頭を下げると、どういたしまして。と快い返事の後で、
    「俺、何かしたっけ?」
    一十木くんが首を傾げます。
    その手に持っているのは、私が編曲を手がけた楽譜です。
    授業を終えて、放課後の今は
    アイドル志望の彼と共に行なう、自主練習の時間。
    レコーディングルームが使えるのが一番いいのですが
    すでに予約がいっぱいで、
    空いている教室は無いかと校内を探索する途中、
    中庭に差し掛かりました。
    春風が頬に触れて、一十木くんが目を細め、立ち止まる。
    そのタイミングで私が突然頭を下げたのです。
    「昼休みのことなのですが……。」
    いつ言おうか。いつ言おうか。と伺っていた私とは違いますから
    脈絡のない感謝の言葉を彼が不思議に思うのも無理はありません。
    また、失敗してしまいました。
    「昼休み?」
    目の前の人に伝わらなかったらしく、
    その反応にまた、もごもごと口を動かして、
    優しくしてもらえて嬉しいことも、
    彼に勇気をもらったことも、
    どう言えば、届くのかわからずに俯いてしまうのです。
    「私なんかと、友達でいてくれて。」
    さあ。と風が通り抜け、木々を揺らす音がしました。
    「……えい。」
    頭に軽い衝撃が与えられて、
    慌てて顔を上げます。
    全く痛みはないけれど、
    くるくると丸められた楽譜で
    叩かれたという事実に驚きを隠せません。
    「『なんか』じゃないよ、七海。」
    「……え。」
    「その言葉、七海のことを好きだと思ってる俺に対して失礼。」
    笑顔が似合うクラスメイトの、
    いつになく真剣な瞳に、押し黙ってしまう。
    それに、今、好きって……。
    硬直する私の様子に気づいて彼は
    ふっと、力を抜いて笑顔を作りました。
    「友千香も、マサも那月も、皆、七海のことが好きだよ?」
    まるで、小さい子を諭すみたいに。
    「はい……。」
    誰かに好意を向けられる。
    その事実を受け止めきれずにいる私だけど、
    こくこくと首を縦に振って、ちゃんと聞いていますと示せば、
    「ごめんね、痛くなかった?」
    と頭を撫でられました。
    優しいぬくもりに、泣いてしまいそうです。
    「初めて……ばかりで……。」
    「うん?」
    「もっと上手に、お友達ができればいいんですが……。」
    「うーん。」
    私の言葉はまた、
    一十木くんを唸らせてしまいました。
    「ごめ……」
    「七海は、俺のこと好き?」
    謝罪に被せられた問いに、私は驚きつつ
    大きく首を縦に振ります。
    「好きです。大好きです!」
    明るくて眩しい、太陽みたいな彼は
    私に気づいて手を振ってくれる優しさも持っていて、
    その綺麗な心が表れる、まっすぐな歌声は
    胸に直接響いて、一瞬で魅せられました。
    この人に歌ってもらうと知って、
    わくわくが止まらなくて。
    出会って間もないですが、
    これだけは、自信を持って言えます!
    私の剣幕に押されて、驚いたのでしょうか、
    パートナーは頬を赤く染めて、困った顔をして
    それからまた、笑顔で私に向き直る。
    「友達って、頑張るものじゃないよ。
     俺は七海が好きで、七海は俺のことが好き。
     それだけで、いいよ。」
    「……いいんですか?」
    「うん。」
    「私、皆さんの優しさに、何かお返ししなくちゃって……。」
    「要らない要らない。」
    彼は手を振って苦笑した後で、
    でも、そうだな。と付け加える。
    「七海の笑顔が見たいな。嬉しかったら、笑って?」
    「はい、」
    彼の笑顔は、ぱぁっと辺りを照らす。
    眩しいその存在に、目を細めて
    「ありがとうございます!」
    やっぱり、何度だってお礼を言いたいなと思うのです。
    【 2012/01/02 14:53 】

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