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クリスマスイブなので‐セシ春‐
セシ春さん。はじめまして。
やっぱりセシルさんの口調がつかみきれない。



「寒いのはきらいです……。」
玄関のドアを開けて出迎えれると
彼は開口一番、そう言いました。
一国の王子様はマフラーをぐるぐるに巻いていまして
半分以上覆われたお顔は、
口許が隠れた故の蒸気のせいか、真っ赤になっています。
息苦しくないのだろうか。と
「部屋の中はあたたかいですよ。」
中へ入るよう促しながら私は
思わず手を伸ばして、カシミヤ製のそれを引き下げました。
ほんの少し、指先が彼の頬に触れましたが
「ああ、春歌はあたたかいですね。」
「ひゃっ。」
気づけば手をぎゅっと捕まえられて
冷えきった手のひらにも驚きました。
じわりじわりと、私の熱が移っていくのを感じます。
「玄関は寒いですから、」
「逃げないで、My Princess」
言葉を言い終わらないうちに引き寄せられて
いとも簡単に、力強い腕の中に閉じ込められてしまいました。
「ワタシにはただ一人、アナタがそばにいればいい。
 この胸の中に、ぬくもりを灯し、
 生まれてくる音楽は、永遠に枯れることはありません。」
頬に落とされた口づけが心をくすぐって
私は肩を竦めながらも
「セシルさんも……あったかいです……。」
恐る恐る、手を伸ばして、
彼の真似をしてみるのでした。
【2011/12/26 16:34 】
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