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クリスマスイブなので‐トキ春‐
彼女が玄関まで駆けてきて、
「おかえりなさい。」とドアを開けてくれる、
その瞬間の幸福は、とても言葉にはできませんね。

今日も私は、帰宅を告げるチャイムを鳴らしたのですが
いつもの、危なっかしい足音が聞こえてこないので
滅多に取り出すことのない、互いに交換した合鍵を使って
玄関に彼女の靴があることを確認し、
「帰りましたよ、春歌?」
奥へと声をかけますが、しんと静まり返っています。

愛しいパートナーは、居間のソファに丸くなっていました。
呼吸毎に上下する胸に安堵し
「ベッドで寝なさい。と、あれだけ言っているのに。」
と、苦言を呈しますが
微笑み混じりでは説得力がありませんね。
寝室まで運んであげることも考えましたが
折角早く帰れたというのに、このまま朝まで寝かせておくのは
勿体無いではありませんか。
隣に座り、その柔らかな髪をそっと撫でる。
「どうも、貴女に対しては、優しくいられませんね。」
今の私には、七海春歌成分が不足していますから。
これは由々しき事態です。
一刻も早く解決してもらわなくては困ります。
「春歌。」
「ふに……ぅにゅ……。」
髪をそっと避けて、白い頬を撫でれば
くすぐったいのか、彼女は身を捩って
しまりのない顔で笑うのです。
「無防備過ぎますよ。」
「トキヤくん……。」
「起きましたか?」
「……大好き~……。」
「…………春歌?」
まずは、絶句。
目が合ったと思ったのですが
気のせい、でしょうか?
それから慌てて、真偽を確かめようとした時には
春歌はまた夢の世界へと落ちていった後でした。
何度呼び掛けても、寝息しか返ってきません。
「……あとで、問いたださないといけませんね。」
夢の中の自分にまで嫉妬してしまう程
私には余裕がないのです。
覚悟しててくださいね。
【2011/12/25 01:14 】
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