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クリスマスイブなので - 砂春 -
ワザと、だろうか。

俺の腕に頭を当て、寄りかかる彼女は
すよすよと、幸せそうな寝息を立てる。
寝る間を惜しんで作られた音楽は
ついさっき帰ったばかりの砂月の手に握られていた。
「おかえりなさい。より先に、コレだからな……。」
帰宅予定時刻は必ずメールするようにしている。
それに寸分違わず玄関のチャイムを鳴らす恋人を
春歌は玄関で、新譜と共に出迎えるのである。
そこがまあ、彼にとっては可愛くて仕方ないのだが
努力の結晶に真剣に向き合っている間に
うつらうつらと舟を漕ぎ始め
最終的に、彼女を睡魔に持っていかれてしまうのは、
そしてそれが、約束したみたいに毎回続くのは
釈然としない気持ちにさせられる。

男として認知されてないのだろうか。
それならば、まだいい。
もし、自分と二人きりで過ごすのが苦であって
わざと、こういう状況を作り出しているとしたら?

手を伸ばして、頬をつねりたい衝動に駈られても
無防備な寝顔にほだされて、何もできないでいる。
らしくもない。と自嘲してまた、楽譜に目を戻せば
そこに並べられる愛の調べには、
さびしかった。
会いたいです。
の想いが詰め込まれていて
ますます混乱することになるのである。

「どっちなんだよ……。」
思わず声に出して呻いた砂月の耳に、
「ふにゃ……。」
言葉になっていない寝言が返ってきた。
【2011/12/24 04:01 】
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