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    ともちゃんプラス3
    おそらく修正はする。はず
    卒論しろよお前^q^

     ***

    おおよそ一時間の買い物タイムを終えて
    一息つきましょうか。とカフェに入り
    丸テーブルをぐるりと、三人で囲んで座り、
    一つ余った椅子には、大量に購入したクリスマスグッズが置かれた。
    目の前のテーブルに突っ伏したい感情をどうにか押さえ込んで友千香は
    「私はカフェオレね。」
    1冊しかないメニューを二人に譲る。
    「那月くん、ケーキセットがお得です!」
    春歌が指差したそれは午後16時まで限定の、
    ケーキを頼むと無料でドリンクがつくというものだ。
    カラーで見栄え良く映るデザートを見ていると
    まるでアイドルのようである。
    「ハルちゃんはどのケーキにするんですか?」
    春歌はひとつひとつ、余すことなく見て、
    那月の問いに、それぞれ良さがあって素敵だと言う。
    彼女は優しい。
    すべての読者・視聴者がこんな人だったらいいのになあ。なんて
    ぼんやり、そんなことを考えながら
    女性アイドルは毛糸の帽子を取った。暖房の効いた室内では熱い。
    すでに一つに結ってある赤い髪をくるくると丸めて、ポケットから出したピンで留める。
    親友のお団子姿に、春歌は可愛いです、と目を細め、
    「えっと、那月くんはどれがいいですか?」
    メニューへと視線を戻した。
    「僕は苺のミルフィーユが可愛いなぁって。」
    「実は私も、これ、気になっていたんです。」
    「おそろい、」
    「……です。」
    注文する品を選ぶ、たったそれだけの行動すら、
    頭を寄せ合うその距離が、恋人特有のもので、
    微笑み合う図がまるで、お伽話みたい。と友千香は嘆息する。
    そして、
    「同じの頼むより、別々のを頼んで分け合いっこする方が、楽しめるんじゃない?」
    黙っておけばいいのに、現実を差し込むのだ。
    「ああ、なるほど!」
    「トモちゃん、さすがです!」
    だって、反応がとっても、嬉しそうだから。
    終始、自分は、邪魔者ではなかったらしい。そう思うと救われる。
    「では、苺さんはハルちゃんに譲りますねぇ。」
    「いいんですか?」
    「はい。それで、僕はこの、紅茶のシフォンケーキにします。
     ふわふわでとってもおいしそうです。」
    にっこりと笑顔が咲けば、春歌が嬉しそうに頷く。
    「飲み物はどれにしますか?」
    「僕はダージリンで。」
    「では、私もそれにします。」
    「那月。紅茶のケーキに、紅茶をつけるの?」
    二人が同じタイミングで顔をあげるから、それがまた愛らしい。
    「!! 気づきませんでした!」
    「危ないところでした……!」
    憎めないな! まったくもう。
    このわだかまりを私はどうすればいいんだ。
    最早同じ人間であることを疑い始める始末である。
    天界から降りてきた天使?
    お花畑に住む妖精?
    メルヘンは柄じゃないんだけど。
    どうしてこうなった。このお団子頭を振り回したい。
    「そういえば、」
    天使の片割れがぽつりと零した声に、友千香は慌てて思考を引き戻して
    「トモちゃんは、那月、と呼んでいるんですね。」
    瞬間、急停止する。
    今更と言えば、それまで。
    学生時代から友千香は彼のことを名前で呼んでいた。
    だが、このタイミングで言われると、
    二人きりの休日に本意ではなかったが乱入した引け目が立って、
    「ごめん! 春歌。」
    謝罪を口にする他なかった。
    親友が突然頭を下げるので、今度は春歌が目を丸くして、
    「あの、トモちゃん?」
    首を傾げる。
    「私、二人が仲良しなのが、嬉しくて。
     那月くんも、トモちゃんも……私の大好きな人だから。」
    大好き。のフレーズで、彼女の頬に赤みが差す。
    それでも最後まで言い切って、少女ははにかんだ。
    反則だと思う。友人は呻いた。
    ぎゅって抱きしめたくなるこの愛らしさを演技でもなんでもなく
    自然に見せることが出来るなんて、アイドルの素質充分――いや、アイドルという枠にも入れたくない。
    やっぱり天使なんじゃないかしら。
    その頃、恋人は。
    抱きしめたいけれど、家を出発した時のお約束、
    『お外では、ぎゅってするの禁止です!』をきちんと守ろうとした。
    でも、思ったことを口にするのは止められていないから、
    「僕も、ハルちゃんのこと、大好きです。
     ああ、嬉しいなぁ。同じ気持ちでいてくれるんですね。
     胸の鼓動が奏でる旋律が、今、あなたの胸にも流れている――。
     軽やかで、楽しくて、それなのに穏やかで、暖かい。
     そう、あなたの名前みたいです。わかりますか、春歌。」
    降って来た想いをそのまま紡ぐ。
    「な、名前……。」
    「あなたがその可愛らしい顔を僕に見せてくれるのなら、
     何度でも呼びましょうね、春歌。僕の可愛い天使。」
    言葉だけじゃもの足りなくて、 
    歩いている間中ずっと繋いでいたのに今は離れてしまった小さな手をとって、
    そっと口づけを贈る。
    「な、ななな、那月くん!」
    「ふふっ、ほっぺたが真っ赤ですよぉ。可愛いです。」
    「はいはい、すとっぷすとっぷ。」
    これ以上那月を静止できそうにない春歌に変わって、
    野暮だと思いながらも友千香が宥めた。



    注文を確定させなさい。と促すのとほぼ同時に、
    三人がよく知っているメロディーが流れ、
    友千香は自分の携帯を取り出して電話をとった。
    すぐに連絡に気づけるように、とマナーモードを切っておいたのだ。
    それはメロディデータで、歌声は入っていなかったが、
    「那月くんの曲ですね。」
    「ハルちゃんの曲ですね。」
    会話の邪魔にならぬように、小声で相手に投げかけた台詞は同じタイミングで
    二人で、くすくすと笑い合う。
    四ノ宮那月のデビューシングルであるそれは、
    作曲家七海春歌がプロになって一番はじめに手がけたもの。
    感謝の気持ちで胸をいっぱいにして
    「じゃあ、私は仕事に戻るから。」
    「いってらっしゃい。」
    友人を送り出す那月と春歌の声が、綺麗に重なる。

    仲良しで何よりだ。と
    外に出た途端、身に染みる寒さに笑いかけて、
    友千香は歩き出した。
    足音に合わせて振り返る。
    体に残る疲労感は、充実感にも似ていて、でも、それよりも適切な単語はありそうだ。
    ひとつ。前言撤回をさせていただくならば。
    変わってない。なんて嘘。
    ついつい口を出してしまうけれど、
    那月と春歌はちゃんと、二人で生きていけるように成長しているんだと気づいた。
    ずっと側にいた彼女だからわかる、ほんの些細な差異。
    そりゃあ、手の甲にキスはしてたけれど。
    あの狭い店内で、
    椅子から立ち上がって春歌を抱きしめていたのが、これまでの那月。
    「あははっ。」
    今頃になって、やっと、あの空気の住民になれた、そんな気がする。
    「私はご褒美。というところかな。」
    那月は、大好きな春歌を喜ばせたかったのだろう。
    春歌も、那月の思いを汲み取って素直に甘えたのだろう。
    彼女のありがとう。のたびに、幸せそうに笑う那月と、
    彼の幸せをまっすぐ受け取って、微笑みでお返しする春歌を、
    素直にうらやましいと思う。
    「全く困った。」
    これから行なわれる仕事は撮影で、
    フラッシュに応えることを求められるのだが、
    どうしようもなく、歌いたい気持ちで溢れている。
    「トモちゃん、おかえりなさいー。」
    わざわざドアの前に立って待っていてくれたスタッフに向けて、
    せめてもの慰めに、
    「Merry Christmas!」
    満面の笑みを贈る。
    どうか、今日の残りの時間も、幸せな休日を過ごせますように。
    【 2011/12/20 04:44 】

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