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    折り返し
    地点です。はぁ。先は長い^q^
    もう自己満足だけで成り立っております。
    いいの。それでもいいの。
    最後まで見届けたいんです。

    ☆お呼ばれ

    着信を知らせる電子音と共に、
    那月くんの携帯のランプがチカチカと点灯します。
    ちら、と私を伺うので、どうぞ。と目で促せば、
    彼は携帯を開いて、ディスプレイに表示される番号と名前を見て、
    「月宮せんせぇ、ですね。」
    と、呟き、電話を取りました。
    「もしもし?」
    『もしもし、なっちゃん!
     あなた、明日から二日間、仕事入ってなかったわよね?!』
    林檎先生の声は隣に立っている私にも届く程大きくて、興奮しているのがわかります。
    「はい。その通りです~。」
    『今日の作曲家が、なっちゃんのヴィオラの演奏を次の新譜に使いたいって言って来て!
     レコーディングは明日から、泊まりになるんだけど、大・大・大チャンスよ~!!』
    元教え子が評価されたことに加え、今日那月くんを呼んだのは先生だから、
    すっごく嬉しいんだと思います。
    私も、つい、両手を胸の前で合わせて、
    口でぱくぱく、と、おめでとうございます! と伝えました。
    那月くんが電話を持ってない方の手で、私の頭を撫でますが、
    表情はあまり明るくありません。
    「泊まりがけ、ですか?」
    そう、その言葉が引っかかっているのでしょう。
    『うん。長引いたら三日、それ以上になるかもしれないけれど。』
    那月くんが、私を伺います。
    私と一緒に曲を作る時間が減ってしまう。
    その瞳が、迷っているので、
    私は声に出して、
    「行って下さい!」
    と、言いました。
    彼が、折角のチャンスを、
    私の作曲のために断るなんて、そんなの絶対に駄目です。
    足を引っ張りたくなんてありません。
    『なっちゃん?』
    電話口で、林檎先生も待っています。
    「那月くん。私なら大丈夫です。」
    一生懸命作った笑顔は、うまくできたかわからなくて、
    手を掴んで、ぎゅっと握りしめます。
    「わかりました。
     それで、僕は、どうしたらいいですか?」
    握り返してくれた手の、力強さと、ぬくもりを、感じて、
    それが、離れるのが、ひどく寂しく感じました。
    林檎先生から伝えられる明日の集合時間、場所、必要なものなどを
    メモしていく那月くんを見ながら、
    私は、プロになったんだから。
    望まれたものを、きちんと、納期に提出するのがお仕事だから。
    心の中でそう唱えました。
    頑張らないといけません。
    那月くんに、歌ってもらいたいから。
    どんどん先に進んでいってしまう彼に、置いていかれないように。
    パートナーでありたい。
    駆け上がるあなたの隣にいたい。
    一緒に、トップアイドルを目指すんです。
    思えば思うほど、悲しくなって、不甲斐なくて、
    だから、せめて、笑って送り出したかった。
    メモに書かれた集合時間は五時。
    時計を見る。
    用意などを考えたら、那月くんは、もう部屋に帰った方が良いでしょう。

    ……私に、出来ることを。
    彼に背を向けて、ピアノに向かいます。
    大丈夫。一人で頑張れる。
    大丈夫。那月くんを支える。
    大丈夫。大丈夫。
    大丈夫にならないと。
    「――はい、おやすみなさい。」
    那月くんが通話を終えて、視線で私を追う。
    ぽーん。
    一音鳴らして。
    お願いします、何も、言わないで。
    昨晩作った譜面を立てて、鍵盤を指で叩く。
    楽しくて。
    嬉しくて。
    私は、あなたのことが好きです。
    大好きです。
    きっと、あなたが歌っている姿に恋をした。
    きっと、あのヴィオラの音色を聞いたときから。
    どんな触れ合いよりも、ぬくもりよりも。
    私は心を奏でる。
    パソコンに打ち込んだ音じゃなくて、私が今ここで、出来ること。
    ふわり、とまずぬくもりを感じて、
    那月くんの匂いを感じる。
    「早く、その曲を、歌いたいです。」
    「はい。」
    「……いってきます。」
    「……はい。」
    いってらっしゃい。頑張ります。
    【 2011/11/27 00:53 】

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