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    リクエスト那春さん。
    いつも私に那春さん萌えを提供してくださる
    親愛なるお姉様へ。

    お誕生日おめでとうございました☆

    お題
    「クップルと遊ぶ那春」

    …遊んで、る?

     +++++

    「那月くん、その……内緒ですよ?」
    人差し指を口に当てて、眉を八の字に下げ、
    座ったままの状態で僕を見上げる瞳は少し潤んでいる。
    彼女の膝の先には、黒い猫がいて、
    知ーらない。という様子で、細かく千切られたパンを
    星が零れてくるような、きらきらした音楽を紡ぎ出す指から
    もぐもぐと食べていました。
    「可愛い……っ!」
    両手に抱えたたくさんの菓子パンをぎゅっと抱きしめたら、
    ぱんっ、と袋が割れる音がしたけど、そんなの全然耳に入ってこない。
    「那月くんも、猫が好きですか?」
    尻尾の先っぽまで全部真っ黒なそのネコさんもだけど、
    安堵して、ほっと息を吐いて微笑むハルちゃんが、
    「可愛いです!!」
    「きゃあ!!」
    可愛くて、可愛すぎて、僕はもう、我慢ができなくて、
    手に持っていたお昼のご飯を全部投げ捨てて、飛びついてしまいました。

     *

    クラスは一緒でも、アイドルコースと作曲家コースでは
    全く違うカリキュラムが組まれているので
    授業も課題も異なります。
    今朝、アイドルコースの昼休み前の授業が長引きそうだ。と
    同室のトモちゃんが言っていたので
    一人でのお昼ごはんになることを覚悟していたのですが、
    よく晴れた空に導かれるように、外に出てみれば、クップルが私を待っていたのです。
    「トモちゃんと私の話を聞いてたから?」
    「にゃ~ぁ。」
    「ふふっ、クップルは本当に御利口さんだね。」
    本当に、私の言葉がわかっているようで、不思議な猫さん。
    二人で木陰に入って、クップルの大好物のさおとメロンパンをお昼にしていると、
    「あ! ハルちゃん! やっと見つけました~!!」
    那月くんにその場を見つかってしまい、
    規則を破って、隠れて寮でペットを飼っている後ろめたさから、
    私はすっかり慌ててしまって、
    「内緒ですよ?」
    と、言ってしまい……。
    うう、私自ら、秘密があることを教えてしまったことになります。
    その後、突然抱きつかれて、また驚きつつも、
    一緒に昼食を、と急いで授業課題を終わらせて
    駆けつけてくれたパートナーさんの笑顔に逆らえず、
    クップルのことをすべて、話してしまいました。
    風がそよそよ、頬を撫で、髪を揺らします。夏が行き、秋がきました。
    那月くんと一緒にいると、毎日があっという間に過ぎていって、
    気づけば半袖のシャツはまた、長袖に戻り、
    でも、ジャケットを羽織るにはまだ暑い、そんな季節。
    「クップル君っていうんですね~。」
    甘そうなパンばかりを腕に大事そうに抱えて、隣に座る那月くんに頷いて、
    その大切な友人の方へと視線を移せば、
    出されていたパンを食べ終わって、口の周りをぺろりと舐め、
    続けて、私の指についた砂糖を取る作業に入ります。
    くすぐったくて目を細めたら、にゃぁ。と嬉しそうに鳴きました。
    「本当に可愛いです……。」
    レンズの奥の瞳をうっとりと細めて那月くんは
    私とクップルの様子を眺めていましたが、
    ふと気づいたように顔をあげ、
    「もしかしたら、まだお腹がいっぱいになってないのかもしれませんね~。」
    と、私に進言します。
    「そうなの? クップル。」
    「にゃ~。」
    「どうしよう、私のご飯はもう全部食べちゃったから……。」
    一人分で良いと思っていたので、パンを一つしか買っていなかった私は、
    両手を開いて、もうないんですよ~と、猫さんに示します。
    「僕のパンでよければ、わけましょうか?」
    「いいんですか、那月くん。」
    購買にまた足を運ぼうか、と考えていたので、
    パートナーさんのその提案は、とっても嬉しいです。
    隣に座る私にいつもの笑顔を見せて、那月くんが
    「そのかわり、僕が食べさせてあげてもいいですかぁ?」
    と、聞きます。
    「はい、もちろんです!
     よかったね、クップル! 那月くんがご飯をくれるって。」
    私の笑顔に、クップルは小さく、にゃぁ。と鳴きましたが、
    那月くんがパンを少し千切って、差し出すと、ぷいっ。とそっぽを向いてしまいました。
    「クップル?」
    人懐っこいはずのその猫の、思いもよらない行動にびっくりして、
    「どうしたの、クップル……。」
    トモちゃんの時はこんなことなかったのに……と首を傾げて、
    那月くんが、嫌われちゃったのかな、と落ち込むのでは。と思い
    慌てて振り返ってみれば、
    「やっぱりネコさんは可愛いですね!!」
    両手を胸の前で組んで、目をきらきらと輝かせ、
    「ぷみゃあー?!!」
    クップルの非難の鳴き声に構わず、がしっとその首を捕まえ、
    左の腕の中にしっかり収めてしまいました。
    ……そう言えば、那月くん、
    翔くんが嫌がれば嫌がる程、嬉々として
    骨が軋む音が聞こえてくる位、抱きしめて
    頭をなでなでしています、ね。
    等と、戸惑いながらもそう考察して、
    右手でがしがしと撫でられているクップルを、大人しく見守ろう。
    と思ったのもつかの間、
    黒猫が唸り、長袖のシャツに爪を立てているのを見つけてしまって
    「クップル、駄目!
     那月くん、制服が!」
    私はもう、気が気ではありません。
    おろおろ。と二人を見比べれば、
    「はい、おいしいですよぉ?」
    パートナーさんは高揚した笑顔で、また、パンを食べさせようとしました。
    「フーーーッッ!!」
    しかし、クップルは、まるで
    お前の手からは絶対に食べてやらない! と言わんばかりに
    その小さな身体で、那月くんを威嚇するのです。
    本当に、どうしてしまったんでしょう。
    「うーん、クップル君が食べてくれないのなら、仕方がないですねぇ。」
    「あの、クップルがごめんな……」
    「はい、ハルちゃん。あ~ん、して?」
    「……はい?」
    黒猫を片手で抱えた彼の、綺麗な瞳が私を映す。
    隣り合うその距離はとても近くて、
    笑顔が眩しくて、ドキドキします。
    口元に差し出されたそれから、甘い果実の匂い。
    「りんご、ですか?」
    「はい、りんごのパンです。
     すっごくおいしいですよぉ。僕のお気に入りなんです~。」
    早乙女学園の購買に並ぶパンが、
    それだけでお店を出せそうなレベルなのは良く知っていますから
    「確かに美味しそうな香りがしますが、
     あの、どうして、私に?」
    今私が躊躇しているのは、那月くんの手からパンをいただくこと、でして。
    「りんごは嫌いでしたか?」
    「いいえ、好きです……。」
    「ああ、大丈夫ですよ! 毒は入っていません。」
    那月くんの頭の中では、白雪姫のお話が再生されているのでしょう。
    私も、幼い頃に読んだ絵本をぼんやり思い出します。
    「それに、」
    ここで、童話がすぐ頭に浮かぶのが、すごく、らしくて、微笑ましく思うのと
    同時に、差し出されたままでいるパンに、どうしたものかと頭を悩ませる私に
    「あなたがもし、その可愛らしさから妬まれ、
     甘い毒を全身に抱いて倒れてしまっても
     僕が必ず、助けてあげますから。」
    那月くんがそう囁いて、
    パンをぽん、とこの唇に押し当てるものですから、
    私はもう、真っ赤になってしまって
    「さぁ、どうぞ?」
    首を傾げる様が可愛らしくて、それがまたズルいと思いながら
    首を二、三度縦に振って、
    甘い甘いりんごの味を、口の中に招き入れるのでした。
    「にゃあっ!!!」
    クップルが鋭く鳴いて、現実に引き戻されます。
    那月くんが笑って、
    「大好きなあなたが食べているのを見て、
     クップル君も食べたいと思ったんでしょうね~。」
    と、千切ったパンを差し出せば
    唸りながらも、大人しく食べ始めます。
    なるほど。そう言うことだったんですね、と納得はしたものの
    一度早くなった動悸は、なかなか落ち着けることが出来なくて
    もごもごと、りんごのパンを口の中で転がすのでした。
    すごく、おいしいです。丁度、旬ものですよね。

     *

    ネコさんに、恋敵扱いされています。
    そのことがすっごく嬉しくて、たまりません。
    彼の目から見て、僕とハルちゃんはお似合いってことですよね?
    不本意そうに僕の手からパンを食べて、
    ハルちゃんを僕から守ろうとするその姿も、とっても可愛いです。
    小さい体で、頑張り屋さんなんですね。
    「ねえ、ハルちゃん。」
    ご飯を済ませて、授業が始まるまで少し余裕があるので、
    そよ風が揺らす木々の音を聞きながら、のんびりしています。
    「なんでしょう、那月くん。」
    僕の手をがじがじと噛んでいる黒猫さんを、
    僕はすっかり気に入ってしまいました。
    もっともっと遊んで、手なずけて、
    僕がハルちゃんのパートナーだってことを、認めさせたいなあ。
    「今日、クップル君を寮に連れて帰ってもいいですか?」
    だから、ハルちゃんにこんな提案をしてみたんです。
    彼女はきょとん。とした後、
    「そんなにクップルのことを気に行ってくれたんですか。」
    と、表情を綻ばせます。
    嫌がったのは、ネコさんの方でした。
    僕の手を思いっきりひっかいて
    「いたっ!」
    さすがに痛くて、僕の腕の拘束が緩まった隙に
    ぴょんと飛び出して、ハルちゃんのスカートに着地し、
    「にゃあ!」
    一声鳴いて、くるりと丸くなります。
    「那月くん、大丈夫ですか? お怪我されていないですか?!」
    ハルちゃんが涙目になって僕を心配するので
    大丈夫ですよ、とその頭をなでなでしてあげながら
    「やっぱり、そこがいいんですね~。」
    と、ぽつり、言葉を溢しました。
    でも、そうですよね。
    ハルちゃんの膝の上は、すごく気持ちが良さそうで。
    一度味わってしまったら、きっと。
    「あの、あの、ごめんなさい! 手当てを! 包帯! 病院!」
    じっとしていられないのかな、手をぱたぱたと振るその仕草が可愛くて
    ハルちゃんは本当に天使だなって思いました。
    「ハルちゃん、落ち着いてください。」
    「でも、」
    「肩を、貸してください?」
    「肩……?」
    きょとんとする彼女の頬にちゅっとキスをして、
    みるみる真っ赤に染まっていく姿を見守ってから
    ちら、と膝の上のライバルさんをうかがいます。
    「負けませんよ?」
    ハルちゃんには聞こえないように、こっそり。と。
    「にゃ~……!」
    クップル君がちょこっと顔をあげて
    碧色の瞳で僕を睨みました。
    それに僕は笑顔で返して、
    華奢な肩にこてん。と頭を乗せました。
    「な、なな、なつ……?!」
    何も知らないハルちゃんは、驚いて体を縮ませたけれど、
    「お借りしますね。」
    と僕が言うと、恐る恐る、力を抜いてくれて。
    頬に触れる、シャツと、なだらかで安心するハルちゃんの肩。
    さらさらの髪が揺れて、シャンプーの香りがする。
    思い切り吸い込んで、
    「ふふっ。」
    「?」
    やっぱり、思っていた通り、でした。
    【 2011/11/26 19:18 】

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