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    消す勇気も必要!
    一回書き直してみたら、すっきりした。
    いぇい^q^

    ☆この特等席で

    那月くんを想うと、
    幸せでいっぱいになって
    依頼に沿う曲が書けなかったこと。
    一度、那月くんの存在を横において
    台本と向き合って作曲したこと。
    いまのままでは、想いが足りないから
    これから、那月くんにしか歌えない、
    那月くんのための曲にしようと思ったこと。
    「それで、思ったんです。
     台本の、この男の人を、那月くんに当てはめられないかなって。」
    早乙女学園に入学して、初めてお友達が出来て
    1年で、随分とおしゃべりは上達した気でいましたが
    自分の想いを伝えるのに、言葉を選ぶのはなかなか難しくて
    ぽつり。ぽつり。
    何度も話は途切れてしまいました。
    繋がっていなかったりもしました。
    でも、那月くんは最後までじっと聞いてくれて
    頷いてくれて
    頭を撫でて、
    頬を撫でて、
    たまに、腰に抱きついてきたり
    胸元に顔を埋めたりして
    お話どころじゃなくなったりもしましたけれど、
    「そうだ、那月くん!
     台本の台詞をいくつか、言ってもらえませんか?」
    長く時間はかかりましたが、やっと
    私はひとつの打開案を提案するに至ったのです。
    那月くんも私も、心を想い描いて、作り上げて
    自分のものにする、というところで躓いているので
    我ながら、名案ではないでしょうか!
    彼の膝の上から滑り降りて、
    テーブルの、食事の邪魔にならないように端に積み上げた台本を数冊、
    作業をしていた、そのままの状態で放置していたPC回りからも数冊、
    両手で抱えると、
    立ち上がって恋人は半分持ってくれました。
    「演技の練習にもなりますね。」
    目の前に笑顔がある、この安心感は
    私の表情を柔らかくしてくれるんです。
    よく、クラスメイトだった皆さんから
    那月に似てきたね。と言われるのですが
    那月くんの空気は伝染するんです。
    それは、画面越しであっても。
    だから、たくさんの人に愛される。
    すごいことだと思います。
    「はい。那月くんの演技を見るのは、卒業してから初めてのことですね!」
    「ふふっ、春歌、すごく嬉しそうですね。」
    「はっ! すいません、お仕事なのに!」
    ミーハー心が全面に出てしまい、慌てて顔を引き締める私に、
    「いいですよぉ、素直でとっても可愛い、僕の天使さん。」
    と那月くんは額にキスをして、ソファという観客席に座るよう促します。
    その仕草は、王子様とも騎士様ともとれました。
    恭しく扱われると、自分がお姫様になった気持ちになれます。
    ふんわりと跳ねるこの椅子は、たったひとつの特等席ですね。
    溢した笑みにも、音をつけたい。
    女の子を皆お姫様にしてしまう、素敵な魔法の曲を。
    魔法の名前は、恋。瞳を奪われる。シンデレラ、ですね。
    曲の間ずっと、くるくる、踊り続ける、幸せ。
    台本に真剣な眼差しを落とす彼を見守りながら、私は心で音楽を奏でます。
    忘れないように。溢さないように。
    那月くんと一緒にいると、感情も、くるくる、踊り続けますね。
    止まらない。ちらと時計に目をやって、三時間前は私、泣いていたんでした。
    「今度は、泣かないように頑張りますね。」
    笑顔とともに零れた声は音の波になって、
    那月くんの元にも届いたのでしょう、振り返って、
    「どうして? ……涙を溢さないように?」
    活字へと向けていた瞳をそのまま、私に向けます。
    思いも寄らぬその強さに驚きます。
    「泣いた理由を、まだ話していませんでしたね。
     その、那月くんにもし、そんなことを言われたら。と思ったら、
     お恥ずかしいことに、とても悲しくなってしまって。」
    でも、今度は大丈夫だと思うんです。
    那月くんが立っているのは舞台の上で、私は観客でいられるから。
    優しく慰めてくれたから。
    一緒に曲を作ると決めたから。
    支えると、そう決めたから。
    那月くんのために、頑張るって決めたから。
    想いはいくつも頭に浮かぶのに、何から伝えればいいかわからなくて、
    詰まってしまったから、いけないのでしょう。
    その一瞬の間に、私より先に口を開いたのは、那月くんでした。
    「僕は、この役を演じることは、出来ません。」
    【 2011/11/22 14:12 】

    | 迷子[那春さん] | コメント(0) |
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