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    すすまないのは愛のためか
    ☆お話しよう。

    私を抱えたまま、那月くんはソファに座りました。
    なんだか今晩は、彼の膝の上に常駐しているような気がします。
    申し訳ないな。と顔を見上げれば、
    腰に手を回して、赤い頬にそっと口付けを落として
    「この曲に描かれた感情を、僕はイメージできないんです。」
    眉を下げて、言葉を選びながら、那月くんが思いを吐露してくれます。
    「あなたが大事で、誰にも渡したくない気持ちは、確かにこの胸にあります。
     でも、何かが違う気がして。
     僕は、あなたを、しっかりこの腕で捕まえることができる。
     この瞳に映して、触れて、」
    頬を撫でる手は、大きい。
    私よりも体温が高い。
    オトコのヒトなんだって思うと、心臓がとくんとくんと高鳴って
    目を細めて、この恋の始まりを、ぼんやり思い起こしながら、
    那月くんの言葉、思いを、ほんの少しだって溢さないように、耳を傾けます。
    「あなたのことを思うと、幸せばかりが溢れてしまう。
     この曲にはそぐわない感情、ですよね。」
    「私も、そう思います。」
    こくり、頷けば、
    「ごめんね、ハルちゃん。」
    那月くんが悲しそうな顔をするので、慌てて
    「違うんです! そうじゃなくて。」
    手をぶんぶんと振って否定します。
    こういうとき、自分の口下手が嫌で嫌で仕方ありません。
    「私も、昨日今日と、そう思って。」
    お揃いの心が、嬉しいのに、
    仕事の邪魔をしてしまうから、悲しい。
    「私も、那月くんと一緒にいると、楽しくて、幸せで、
     書きたい曲は、全然、違うのに。」
    伝えたいことはたくさんあるのに、
    違う、こんなことが言いたいんじゃなくて、
    弱音を吐きたいわけじゃなくて。
    私が悲しい顔をしたら、那月くんも悲しい顔をして、
    瞼にそっとキスしてくれました。
    「私、不甲斐なくて。那月くんのために、曲を作りたくて。
     ごめんなさい。迷惑ばかりかけて。」
    心配しないで。と言いたいのに。
    優しいパートナーの顔を曇らせてばかりいて、もっともっと情けなくなりました。
    「一緒です。ハルちゃん。
     二人で一緒に、頑張りましょう?」
    俯いたら、頬に添えた手が、私に、上を向くようにそっと促して、
    悲しさをたたえた優しい瞳と声に、心を奪われる。
    「はい。」
    何度も首を縦に振って、
    「堂々巡りですね。」
    話が、元の場所にもどってしまったことに気づき、ぽつり、呟けば
    那月くんがちょっと笑ってくれました。
    「お話するのは、難しいですね。」
    私が、つられて笑いながら、そう言うと、
    「でも、この時間はとっても大切だと、僕は思います。
     春歌の気持ちが聞けて、よかった。」
    頬にキスされました。
    「那月くんは、優しいです……。」
    「そうですかぁ?」
    のんびりとした口調に頷いて、
    「はいっ、とっても優しいです!」
    珍しく強く言ってみました。
    すると、那月くんはふふ、と笑みを溢して
    「あなたに褒められると、とっても嬉しいです。」
    「じゃあ、もっと褒めます。
     那月くんは、すごく優しくて、素敵なパートナーです!」
    「ありがとう。嬉しいなぁ。
     ね、ハルちゃん、頭を撫でてくれませんか?」
    私におねだりをする。
    こうやって甘えればいいんですね。と感心しながら
    私は身体を伸ばして、ふわふわの髪をよしよしと撫でて
    目がぱちりと合って、にっこり笑顔を贈られました。
    私も、笑顔を返します。
    「上手に話せなくても、いいんですよ。
     僕は、あなたの可愛らしい声が言葉を紡ぐだけで、
    心が暖かくなって、
     ひなたぼっこをしているような、そんな気持ちになれます。
     他愛もないおしゃべりも、こぼれる笑い声も、ため息さえも
     僕には愛しくて、意味のあるものなんです。」
    恋人は、小鳥のさえずりにさえ耳を傾けて、会話できる人だから、
    この優しい瞳を信じればいいんだと思います。
    どうしても伝えたいという気持ちから、
    いつの間にか入っていた肩の力を抜きました。
    「那月くんを励ますつもりが、また、私が慰められていました。」
    「僕の言ったことで、春歌の心を救ってあげられたのなら、よかった。
     僕は、あなたのアイドルですから。
     いつだって、笑顔をあげたいんですよ?」
    「私も。私だって。」
    恋人の笑顔を望むのは、我儘でしょうか?
    「その、パートナー、ですから!」
    いけません、お仕事の話だったはずなのに!
    内心で自分を叱りつけつつも、今度はそれを表面に出さないよう努めて
    「つまり、お仕事を、頑張りましょう!」
    無理矢理、話を戻したのでした。
    【 2011/11/21 03:46 】

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