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    ひきこもっていく。
    創作が好き。
    妄想が大好き。
    ダメですか? ダメなんでしょうか?

    翔春さん。

     ***

    「翔ちゃんが女の子になればいいんですよ。」
    「えっ。」
    「はっ?!」
    さも名案を思い付いた。という風に
    四ノ宮さんはニコニコと、私達に笑いかける。
    私は理解が追い付かず、
    四ノ宮さんと仲の良い翔くんを見ました。
    頼りになる相棒さんも私同様に、意味がわからない。という顔をしていて
    ただ、私はぽかーんと口を開けた、間抜けな顔をしてしまいましたが
    彼は、理解に努めようとしてやっぱりわからなかったという
    苛立ちにも似た表情を浮かべています。

    早乙女学園を卒業して早1年。
    天然でふわふわした四ノ宮さんと、
    小さいけれど(「小さい言うな!」)しっかり者の翔くんは
    セットでお仕事をもらうことも多くて
    今日は、体育大会の番組に二人で出ることになったので
    一緒に練習をする。と翔くんからは聞いていました。
    作曲のお仕事がひと段落ついていた私は、
    何をして過ごそうかとぼんやり考えていたところで四ノ宮さんから
    「ハルちゃんの差し入れがあると嬉しいです♪」というメールが届いて、
    少し張り切って、サンドイッチを作りました。
    そうして、ひとときのランチタイムを今ご一緒している訳です。
    四ノ宮さんから何も聞いていなかった翔くんはすごく驚いていて、でも
    「お邪魔でしたか?」
    と私が伺うと
    「そんな訳ねぇよ。嬉しい。ありがとな。」
    まっすぐと、私の欲しい言葉をくれました。
    優しくて素敵な、自慢の恋人さんです。

    「女の子の格好をすれば、
     翔ちゃんだって気づかれずにハルちゃんとデートできますよ!」
    四ノ宮さんが言葉を重ねたことで
    私たちはようやく理解しました。
    確かに、翔くんがテレビに出演するようになってからは
    二人でお出掛けをするなんて、考えられなくなりました。
    こうやってお付き合いをしていることだけでも特別なことなんです。
    寂しいなぁと思うことがあるのは認めますが
    アイドルを目指して、その夢半ば、
    全力で毎日を生きる翔くんのことが大好きなので
    そんなこと、思っても絶対口にしないって決めていました。
    ―――四ノ宮さんは、どうして私の気持ちがわかったんでしょう?
    「いや、まあ、確かにそうかもしれないけど……。」
    隣の翔くんが、先に言葉を返す。見ると、にがーい顔をしています。
    女装した姿でモデルデビューしてしまった位、彼は可愛いです。
    しかし、在学中のあの出来事は
    翔くんにとってはあまり好ましくない思い出らしく
    (理由は、私に寂しい想いをさせてしまったから。と言っていました。
    それは、とっても、嬉しいです。)
    そうでなくとも、可愛らしい自分の外見にコンプレックスを持っているので
    女の子の格好なんて二度としたくないと思っているはずです。
    「妙案だと思ったんですけど。」
    「どうせ、お前が俺の女装を見たいだけだろ。」
    「それも確かにあります。」
    「あっさり認めんなよ。」
    「でも、翔ちゃんとハルちゃんが二人で幸せそうにしていると
     とーっても可愛いなぁって思ったので。」
    那月くんは、並んでサンドイッチを食べる私達ににっこり笑いかける。
    それで突然、こんな提案をしてくれたんですね。
    「ハルちゃん、デート、したくないですか?」
    嘘をつくことはできず、押し黙って
    ちら、と翔くんを伺います。
    「翔ちゃんも、ハルちゃんとデートしたいですよね?」
    「そりゃあ……そうだけど、さ。」
    翔くんも、ちら、と私を伺います。
    「お前、女の格好の俺とデートして、嬉しいか?」
    「えっと、どんな格好をしていても翔くんは翔くんですから、
     すごく、嬉しいです……。」
    私が正直に気持ちを伝えたら、翔くんが唸り声をあげました。
    「ハルちゃん、可愛いですっ!」
    「だああ! 俺の台詞を取るな!」
    「えっ。」
    「あっ、いや、その、」
    「翔ちゃん王子も、ハルちゃんのこと可愛いと思ったんですよね?」
    「言うな! 那月!」
    恥ずかしいのか、私の方を見てはくれなくて
    私は私で、火照る頬を両手で押さえて
    どきどきに負けないよう、必死です。
    「ってか、反則だよな。今の。
     そんな風に言われたら、叶えてやろうって思うし。」
    翔くんの独り言を聞き流してしまう位には必死でした。
    四ノ宮さんがにこにこしています。
    「ウィッグとお洋服は僕にまかせてくださいねっ☆」
    「なんで持ってんだよお前はぁ!!!」

    そして、お休みが重なった日、作戦の決行です。
    四ノ宮さんプロデュースで着飾った翔くんは
    金色のショートカットの、ボーイッシュな女の子に仕上がっていました。
    大きめのロングパーカーは灰色で、うさぎの耳がついていますが
    ショートパンツに薄地のタイツとスニーカー、
    ピンクのチェックが可愛らしいシャツから、インナーは黒のタンクトップの、
    胸の天使の羽根のワンポイントがちらり、見え隠れします。
    「可愛いです、翔くん!
     どこからどう見ても女の子です!」
    「嬉しくない。嬉しくないぞ、春歌。」
    「ね、ね、ハルちゃん、
     可愛いでしょう?」
    「はい! とっても!」
    「ふふっ、もっと褒めてください!」
    「四ノ宮さん、素敵です!」
    「調子に乗んな、那月。」
    翔くんが四ノ宮さんを叩く軽い音に、
    本当に仲が良いんだなぁと思って笑ってしまいました。
    「しかし、那月のことだから
     何かフリフリフワフワしたの持って来られると思ってたけど……普通だな。」
    「もちろん、そういうお洋服も着せたいので、
     次回は是非、僕のために着てくださいね?」
    「ぜってぇ嫌だかんな!」
    翔くんとのやりとりを楽しんでいた四ノ宮さんが
    ちら、とこちらを見ます。
    密かに送られたウィンク。

    目立たない格好にしましたので、どうか、楽しんでくださいね。

    認められない恋だから
    こうやって、応援してくれる人がいること。
    嬉しくて、少し泣きそうになってしまいました。

    翔くんが、那月くんに抱きつかれた腕からもがき出て
    私に手を差し出します。
    「ほら、行くぞ、相棒。」
    そっか。
    手を繋いで歩いても、いいんですね。
    デートなんですね。
    その手を取るだけなのに、随分ぎこちない動きをしてしまい
    翔くんに笑われてしまいます。
    「腕を組んでみたらどうでしょうか?」
    「那月、そのカメラはどこから出してきた?」
    「二人とも可愛いです~!
     こっち向いてください~!!!」
    「話を聞け! シャッターきるな!!」

    笑顔で手を振る四ノ宮さんに見送られ、
    手を繋いで、道を歩きます。
    デートなんだなぁと思うと、嬉しいけどちょっぴり緊張です。
    「お前……さ、緊張してる?」
    「ひゃい、ご、ご迷惑を……。」
    声が裏返ってしまいました。恥ずかしくてもう顔があげられません。
    「いや、いい。俺もちょっと緊張してるし……。」
    「翔くんも?」
    繋ぐ手がぎこちないのは、私のせいだと思っていました。
    天気が良くて、日差しがあたたかく、眩しい。
    「どうして?」
    「なんか今日、すっげー可愛いし。」
    眩しくて、顔をあげられません。
    「……翔くんが可愛いので、
     負けないように、精一杯おめかししました!
     ま、負けない……負けてますけど……。」
    「ばーか。」
    私のおでこを翔くんは指で弾いて、
    「心配すんな。お前の方が可愛いから。」
    いつもの、翔くんらしい笑顔を見せてくれました。
    やっぱり、私よりずーっとずっと可愛いです!
    【 2011/10/31 14:35 】

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