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    リクエスト小説まとめ
    那春さんがうまく書けなかったので
    リハビリがてら、リクエストもらって書いてました。

    ●「相手を男友達と思っている女の子と、
    その女の子にアタックしてても気づかれない男の子の話とかどうだろう。」

     ***

    「切り過ぎちゃったんだよねー。」
    黒い前髪を引っ張る仕草に、
    「いや、そんなことしても伸びないだろ。
     むしろ抜けて薄くなるだろ。」
    「あはは、その通りだ!」
    今日も彼女の笑顔はまぶしい。
    この表情が見える、大切な友人というポジションを
    築き上げたところまではよかったのだが……。
    「でもさ、おかしくない?」
    彼女は真剣に悩んでいるらしい。
    俺の顔に、自分の顔を近づける。まるで鏡を覗き込むように。
    「お、おかしくは、ないんじゃないかなあ?」
    「わ。顔背けなくてもいいじゃん!」
    傷つくなあ、もう! と呟く彼女に、
    可愛いんだよ畜生! と胸中でのた打ち回る俺。
    落ち着け。落ち着け。心の中で、古文文法未然系接続助動詞!
    るらるしさすしむずむむずじまじまほしり。
    唱える唱える。受験勉強にもなるからいいよな、この呪文。

    高校生活2年目。
    彼女が欲しい。
    きちんと言い直すと、
    目の前の同級生で友人の彼女と男女交際したいです! ハイ!

    「気にしなくてもいいだろ。お前は、その、いつでも可愛いし?」
    疑問系にしてしまうのは俺の悪い癖で。
    「テキトーだなぁ。」
    心地好い笑い声が返って来る。
    嬉しくて、とってもせつない。
    「まあ、君がそう言うのなら。」
    くるり。彼女が振り返れば、制服の、地味な紺色のスカートが翻って
    「悪くはないかもね!」
    朝日を背にしても、その笑顔は眩しかった。
    もう、何度も、
    心が音を立てて、このままでいいのか? と責め立てる。

    手を伸ばしたら、簡単にその腕は捕まえられて、
    細くて柔らかくて、驚いた。
    「え?」
    たぶん、お互いに、目を丸くして。
    「あ、いや、車が。」
    「ああ、うん、車ね?」
    動悸を押さえつける。落ち着け。先に手を出してどうする。
    言葉にしろ。伝えろ。伝えるんだ。
    離してもなお、手のひらに残るぬくもりを握りしめて。
    「俺。お前のこと、本当に可愛いって思ってるから。」
    「え。」
    視線を彷徨わせる彼女の、次の言葉は、
    「それは、律儀にアリガトウゴザイマス。」
    「え。」
    今度は俺が固まる番だった。
    「テキトーとか言ってごめん。大丈夫、信じてるから!」
    「お。おう。」
    ああ、眩しい君の笑顔が、
    それ以上何も言うなと言っているみたいで。
    背を向けて、歩き出す愛しい少女に向けて
    後に続く想いは、大きなため息となって、溢す他なかった。

     ***

    ●ずぼらな彼氏

     ***



    私の彼氏はずぼらな人間です。
    記念日も誕生日も、覚えていることを期待するのが間違い。
    そもそも、今日が何月何日かもわかっていないのではないか?
    私はそう疑っている。
    部屋も、彼は散らかす一方で、
    喧嘩して1週間家を訪れなかったら
    彼はゴミで埋もれてしまっていた。
    曰く。全然気にしない。らしい。
    こっちが気にするわ!! と、
    結局世話を焼いてしまって仲直りしたのも、今ではいい思い出。

    付き合い始めて、もう何年経っただろう。
    そんなのも愚問。
    明確に彼氏彼女となった覚えはない。
    ただ、なんとなく世話をやいているうちに
    まわりが私たちを恋人同士だと思ってしまったし
    彼は私をぎゅってしたり、キスしたり、それ以上のこともするし、
    だから、私も彼を「彼氏」という位置に据えた。
    それだけの関係。

    引きこもり属性のある彼を引きずって街を出歩くのも億劫で
    一人で好き勝手散策して、洋服を買って
    甘いものを買って、深夜バイトで寝ている彼を訪ねる。
    「ありがとう。」
    お礼だけはしっかり言うよう躾けられていて
    にこっと、満面の笑みを浮かべるから、可愛くてズルい。
    ずぼらな性格のままここまで生きてこれたのは、
    この笑顔にまわりが懐柔され続けた結果だろう。
    何より癪なのは、私が彼の元を去っても、
    また別の女性が甲斐甲斐しく世話を焼くはずで
    それが嫌だったから、
    大学に入学してから今日、大学3年の秋の日まで、ここにいる。

    好き? 愛してる?
    聞かれたら首をかしげてしまう。
    執着するってことは、好きなんだろうか。
    考えることもとうに放棄した。
    好き? 愛してる?
    私が彼に、聞くこともない。
    必要ない。

     *

    風が冷たくなってきた。
    ストールに口元を埋めて、一人で歩く。
    イヤホンから微かに流れる愛の歌を、心で口ずさんで。
    目の前を、手を繋いで楽しそうに歩くカップルが行く。
    もうすぐクリスマスだね。と2か月も前から話す様は
    非常に可愛らしかった。
    「恋人ごっこ」に憧れないことはない。
    そばにいたいなら、期待しなければいいと学んでしまったから
    望まないでいようって、決めたはずなのに。

    私は、いつまで彼と一緒にいるんだろう。

    将来への不安で押しつぶされそうな胸に、すきま風が染みた。
    いつから、感情より先に言葉が出てくるようになったんだろう。
    寂しい。
    気づいてしまえば、こんなに大きくなっていた。

    ずぼらな君の、そういうところは嫌いじゃないけど、
    たまには、君という殻を破って、私のための恋人でいてくれませんか?

    「おかえりー。」
    私の家じゃないのに、彼は私が入ってくるとそう言う。
    彼が転がるベッドに腰掛けて。
    「ケーキ。」
    「ん?」
    「ケーキが食べたい。」
    私はそう言った。
    「買ってこなかったの?」
    「うん。でも、食べたくなった。」
    「買っておいで。」
    「もう動けない。」
    様子がおかしいのを悟ったらしい。彼は手を伸ばして私を撫でた。
    「よしよし。」
    「ケーキが食べたいの。」
    「そうかそうか。」
    ぎゅっと私を抱きしめて、
    「じゃあ、君が元気になったら一緒に買いに行こうか。」

    望んでいたのは、
    君が、私のために動いてくれるかどうか。だったのに。

    寄りかかれば、私より高い体温と、心臓の音に気づく。
    「要領……いいよね?」
    「ずぼらなだけじゃあ、生きていけないから。」
    タネ明かしをするみたい、彼はとっても楽しそう。
    「それで、俺の彼女さんは今日はどうしたんですか?」
    ぬくもりと、少しの気遣いで満足してしまうなんて、
    随分と幸せの基準値が低くなったなあって思って、
    私は目元に浮かんだ涙をそっとぬぐった。
    「将来のこととか。色々。」
    と、私が言えば、
    「そんなの、なるようにしかならないよ。」
    事もなげに彼はにっこり笑って、
    私の唇を奪った。
    「それでも不安なら、ずっと俺のそばにいればいい。」
    笑っているけれど、瞳は真剣に、まっすぐ、私を射抜く。
    どういうことだろう。
    一生世話をしろ。と、そういうことか。
    それでもいいかも。と思ってしまうのは何故。

    きっと、いつまでも、
    私は彼の自由なところに惹かれ続ける。
    どんなに記念日を忘れられようと。
    ものが散らかって狭い部屋でも。
    羽を休める場所に選んでしまった。

    私の彼氏はずぼらな人間です。
    「そばにいていいの?」
    悔しいけれど、完敗です。
    【 2011/10/25 03:22 】

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