スポンサーサイト
    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。
    【 --/--/-- --:-- 】

    | スポンサー広告 |
    ('◇'人)パンパンッ
    ちょっといかがわしい←

    ☆お揃い

    那月くんが何か言いかけましたが
    それを遮って、私のお腹の虫が鳴きました。
    それは弱々しくも、彼の耳にはしっかり届く程度の音量があって
    私の頬は、真っ赤に染まります。
    時刻は22時をまわっていて、
    昼食以降、何も口にしていないことに気づきました。
    自覚してしまうと、空腹感はより一層強まります。
    「もしかして、夕飯を食べていないんですか?」
    彼が、悲しそうな顔をします。
    心配してくれているのでしょう、軽く罪悪感です。
    集中して、他のことに気がまわらないのは、私の悪い癖ですね。
    でも、
    「那月くんは、もうお済みですか?」
    私の問いに、首を横に振った那月くんを見て、やっぱり。と思いました。
    私達、こういうところも似ているんです。
    「春歌?」
    彼が首を傾げます。私が突然、口許を手で隠したので
    不思議に思ったのでしょう。
    心配よりも先に、お揃いだったことが嬉しくなるなんて
    思わず、顔がゆるんでしまったんです。なんて
    とてもとても言えません。

    目を丸くして、私をじっと見つめる瞳が
    心配から、興味になって、和らいでいくのを、
    じっと見つめていました。気持ちに言葉が追いつかなくて。
    あなたが今笑ったのは、私が今、笑っていたからですか?
    自然とこぼれる微笑みに、ふっと心が軽くなったことに気づきました。
    どうも私は、作曲がうまくいかなくて落ち込んでいたみたいです。
    それが、那月くんが今、目の前にいて、
    こんな些細なことで、力が抜けた。
    「二人」って、いいなぁと思いました。
    「ねぇ、どうしたんですか? 僕にも教えてください?」
    気持ちが空気に溶けて伝わる。
    彼もまた、微笑んでいて、お揃いが嬉しくて、どきどきします。
    ちょっとだけ、ちょっとだけ……甘えてもいいですか?
    そう考えたら、心臓がどくんって音を立てて
    全身が熱ーくなりました。
    「?」
    突然真っ赤になった私に、那月くんがまた首を傾げます。
    その仕草も可愛くて大好きです。でも恥ずかしくて目を逸らしてしまう。
    言葉は、「好き」以外見つからなくって、
    音楽は足元にいっぱい敷き詰めてあって、
    だから、だから、
    彼の疑問にお答えするため、頑張ってみよう。と自分に言って
    願望を後押ししました。
    目線を下げて、彼の手を見る。
    両手で掴んだのは、彼の洋服の、左の袖でした。
    もう一度、見上げてみる。
    いつもは彼が触れてくれるのを待っているだけですから、
    私からというのは初挑戦で、
    これだけで涙が出そうな位、胸が詰まるので
    まだまだ未熟者です。
    私の潤んだ瞳に映る恋人は、ほんの少し絶句して
    「可愛い。」
    うっとりと、幸せそうに言ってくれました。
    私の左手を左手でとって、指に指を絡めて、ぎゅっとする。
    大きくて、あったかい手のぬくもりが、
    じんわり、一日の疲れを溶かしていく。
    手はゆっくりと彼の口に運ばれて、薬指にキスをされました。
    「愛しています、僕の天使。」
    右手で私の髪を撫で、額が触れ合うほどの距離で囁いて、
    蕩ける笑みを向けてくれる。
    真っ赤な顔を見られたくなくて、彼の胸に押し付ければ
    左手は繋いだまま、右手で抱きしめられる。
    それが当たり前みたいに、那月くんの腕にすっぽりおさまって
    鼓動の音を聞いていると、だんだん慣れてきて
    頬を擦りつける程度の余裕が生まれました。
    好きです。ありがとう。大好きです。
    伝わればいいなと思いながら。
    腕にこめられた力が若干強くなって、
    「春歌……大好きです……。」
    那月くんが何度も、繰り返し、私の名前と共にキスを降らせる。
    髪に、額に、頬に、鼻に、耳に、首筋に。
    繋いだ手が熱くて、溶けて、離れなくなればいいのにと思います。
    私を抱きしめたまま那月くんはソファまで移動して、
    まず自分が腰掛け、膝の上に私を座らせる。
    「あ……夕飯……。」
    くらくらする頭で、ぼんやり、
    そういえば夕飯がまだだったことを思い出しますが
    「駄目……逃げないでください。」
    甘い口づけに、何も考えられなくなる。
    「あんまりにも可愛いから……僕が食べてしまいます。」
    いいですよね? と、大好きなその声で問われたら
    頷くしかありません。
    「夕飯はその後で、ゆっくり食べましょう?」
    私のブラウスのボタンを2つ外して、鎖骨に唇で触れて。
    夢中になってしまったら、他のことに気が回らない、
    那月くんも、私も。
    【 2011/10/10 20:52 】

    | 迷子[那春さん] | コメント(0) |
    <<壊してしまえええ | ホーム | 時間の流れ方が早いと感じる>>
    コメント
    コメントの投稿














    管理者にだけ表示を許可する

    | ホーム |
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。