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    2次創作ですよー
    ※私個人の勝手な妄想です。ご了承くださいませ。

    アーク様ーーーーーーーーー。
    ということで完成。
    続きからどぞ。
    夕食の後は、気づけば酒盛りが始まっている。
    それが、飛行船シルバーノアの日常。
    彼女は未成年を理由に、早めに輪を抜け出して眠りにつく。
    朝まで素敵な夢を見てる――と、きっと皆はそう思っているのだろう。
    ぬき足さし足。ひっそりこっそり。
    夜中に部屋を抜け出していることを知るのは
    銀色のたてがみのモンスターと、
    「こんばんは。」
    「ああ。」
    少女の挨拶に顔をあげて、軽く微笑む、
    秘密の場所の先客だけだ。

    彼女の後ろについていたパンディットはドアの辺りに陣取り、体を丸めた。
    夜も更ければ、艦内は静けさに包まれる。
    夜の音。
    誰もいない会議室は無機質で広い、秘密の場所に変貌する。
    その一角に一人で立ち、
    「今日も眠れなかったのか?」
    先客は少女に問う。
    違うの。貴方が一人でいるから。
    言ったらきっと、この時間はなくなってしまうんだわ。
    自分より他者を優先してしまう優しい人へ、
    今夜も苦笑で返事をした。
    そうして、彼の隣に並ぶ。
    彼の視線を追って見た窓の外はよく晴れていた。
    月は丸く太っており、端をかじられた姿で浮かんでいる。
    「綺麗ですね。」
    「そうだな。」
    会話が終わる。
    他愛のない一言二言を繰り返して
    この空間を共有するために少女は居た。
    境界線ははっきりと引かれていて、
    それを踏み越えようなんて思わない。
    視線を窓へと戻す彼を盗み見る。
    三つの年の差がとても大きく感じられる。
    そんな出来た人間じゃないよって彼は笑うし
    ポコさんもククルさんも、笑ってたけれど。
    リーザにとっては未だに、優しくて頼りになる、みんなのリーダーだから。

    スメリア国王を暗殺した、世界的犯罪者。
    世間一般の人は、彼のことをそう認知している。
    リーザもその一人だった。
    それが、いつの間にか同じ旅路を行く仲間になった。
    誤解が解けてしまえば、
    彼はスメリアの王位継承者であり、
    精霊に選ばれた、世界を救う勇者だと言う。
    プラスかマイナスかの違いはあれど、
    結局は、どれも少女が話しかけ辛いと思う肩書きばかりだ。
    きっと私とは違うものを見ている人。
    いつの間にか線を引いて、外からうかがっていた。
    好感は胸に常にあっても、話しかける勇気は少女にはない。
    身体能力が他より劣っている自分は
    足手まといではないだろうか、という懸念も手伝った。
    彼はきっと、目的のためならば振り返らない人だと思った。
    責めるつもりはない。ただ、少しだけ怖かった。

    彼女の予想は、正しかった。
    彼とリーザ、パンディットで行なった任務の途中
    過度な背伸びが祟ったのだろう、
    足を挫いてしまったリーザを彼は困った顔で見た。
    次に、心配そうに寄り添うモンスターを見た。
    「お前がいるから、大丈夫だよな。」
    ――甘くはない。だけど、冷たくもない。
    何が大事なのかをわかっているだけ。
    わからない程子供じゃあない。

    初めて、彼に触れた気がした。
    例え一人になろうとも戦い続けるのだろう。
    負けられない孤独の中で、最後まで剣を捨てられない。
    ――孤独の中にいる人。

    思い返せば、少女の戦う理由はいつだって受動的だった。
    追われるから、逃げた。
    ここにいる理由も、似ている。
    リーザが戦いたくないと言っても、彼は責めない。

    ――私は、私で選ぶの。

    回復術で誤魔化せば、足は簡単に動いた。
    涙は拭けばいい。
    線を一歩、踏み越えて。
    初めて、彼をまっすぐ見て
    「私も行きます。」

    初めて、彼に意見した。


    少女の気持ちが動き出す。
    音もなく、静かに回り出す。
    そこに偶然が降ってきた。
    少女が眠れなかった夜に、ここで出会った。
    ――本当は、彼だって怖い。
    重圧に堪えるだけで精一杯だってこと。
    眠るのが怖いこと。
    孤独を分け合う恋人は、
    同時に、彼に孤独を負わせ続ける。

    弱い部分に親近感を、
    それでもなお戦う姿に憧れを映して、
    ――お兄ちゃんみたいな人。
    彼女はそうやって線を引いた。

    コトン。コトン。
    心で廻る、歯車。

    境界線は今夜も在る。
    越えない場所で、少女は考え、行動する。
    「ポコさんから聞いたんですけど、」
    「ん?」
    「今日、誕生日なんですね。」
    リーザがそう切り出すと、彼は苦笑して、
    「ポコもよく覚えてるよな……。」
    と呟いた。
    ポコがいたら
    『親友の誕生日だもんね!当たり前だよ!』
    と言うことが容易に想像できた。リーザも小さく笑い、
    手に隠し持っていた袋から、二切れのパウンドケーキを取り出す。
    「皆さんには内緒ですよ?」
    料理は好きな方だ。
    自分に何ができるかを考えたら、それしかなかった。
    夕食の準備に紛れて下準備をし
    ついさっき焼き上げたばかりのそれを、彼はぼんやりと見つめた。
    「迷惑……でしたか?」
    不安げな表情を少女が浮かべるので、首を横に振る。
    「いや、驚いて。」
    誕生日にお祝いされる。
    今のこの生活の中で起こり得るとは思っていなかった。
    「ありがとう。」
    受け取って笑うと、少女はぱあと顔を輝かせて、
    食べるよう、控えめにではあるが促した。
    随分打ち解けたものだと思う。素直に慕ってくれることは嬉しかった。
    彼は床に腰をおろし、壁によりかかった。
    少しためらって、リーザもそっと隣に座る。

    「リーザは料理上手だな。」
    ケーキを一口食べての感想に、彼女は笑顔で応える。
    裏に隠れている意味も理解した上で。
    「ククルさんの料理ってそんなに……?」
    「食べれないわけじゃないけど……。」
    そう言って、ケーキをまた一口。
    不味くてもククルさんの作ったものなら全部食べてあげるんだろう。
    リーザはこっそり笑った。
    あこがれの恋人像。
    「……誕生日くらい、スメリアに帰ってもいいと思います。」
    だから二人がはなればなれでいることがどうしても納得できない。
    ククルは精霊の巫女という役目のため、スメリアから動けないでいる。
    せめて誕生日くらい二人で過ごさせてあげたい。
    わがままなんだろうか?
    「この船の人はみんな……許してくれると思います。」
    「ありがとう。」
    彼はそれだけ言った。

    いつだって、内側には入れない。
    その孤独には、触れさせてくれない。
    「会いたくないんですか…?」
    答えは分かっているのに、少女は聞かずにはいられなかった。
    「会いたいよ。とても」
    彼はそう言って、ケーキを口に運ぶ。
    それから、納得のいかない表情の少女に苦笑して、
    その頭をなでた。
    「ククルは、怒ると怖いんだ。」
    遠い地で自分を待つ、愛しい彼女に想いをはせる。
    『そんなことしてる暇があるなら、早く旅を終わらせてきなさい!』
    彼女は嘘つきで、
    「今度会う時は……全部終わった時かな。」
    自分は少し、かっこつけたいらしい。
    目の前の少女は、過大評価をしすぎだと思う。
    寝ている間に、最愛の人を失ってしまうのではないか。
    こうやって月を眺めていても、何も変わらないのに。
    胸中でため息をついて、
    突き刺さる視線に笑いかける。
    澄んだ目でじっと見つめられると、すべて見透かされている気もした。
    聡く、優しい子だ。
    出来れば巻き込みたくないと思う。
    料理が好きで争いが嫌いな、まだ幼さの残る少女を、
    自分は、目的のために利用している。
    強くなんてない。
    ひとつしか選べないだけなんだ。
    だから――。
    「来年は、」
    リーザの口がふいに言葉を紡いで、彼の思考を遮った。
    「来年の誕生日は、ククルさんが一生懸命作ったすぺしゃるけーきですね。」
    そして、花が綻ぶように、笑う。
    何も聞かずに、ただ、ここに在る。
    その優しさにどれだけ救われているだろう。
    「食べられるかな……。」
    正直に弱音を溢してしまっても。
    「あ、ククルさんに言いつけますよ!」
    リーザは立ち上がって、
    「『ククルの作ったケーキって食べられるのかな……』とか言ってましたよって。」
    大袈裟に反応して、微笑みかける。
    ゆらゆら。その優しさに身を任せて。
    「秘密にしておいてくれ。」
    彼は両手を合わせて、懇願した。
    本当に、ククルがからむと表情が豊かになる。リーザは笑った。
    コトン。コトン。
    歯車が想いを動かして、呼吸ごとに、祈る。
    早く幸せが訪れますように。

    「ククルさんのこと大好きですね。」
    返事はない。
    手に持っていたケーキをほおばる彼をみて、リーザはまた笑った。
    【 2011/08/04 02:13 】

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