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    「貴女が望むなら、この身を捧げよう」
    年齢よりも高い能力を求められた少女がいた。
    くだらない王家が民衆を酷使して治める王国で、
    近隣諸国との戦下の中、
    父親が病に倒れ、
    たくさんいる姉達の代わりに、
    この戦争の責任を背負わねばならなくなった、末の姫。
    小さい肩にかかる重圧に、唇を噛んで
    「泣いたら、私は自分に負けてしまうから。
    私のことを、甘やかさないで。優しくしないで。」
    一線を引いた。
    昔から、奔放な姉等を補うように、聡く、真面目な娘であった。
    容貌は他に劣るかもしれない。
    しかし、その瞳は弱く脆く、そして強く輝いていた。
    涙の水で潤され、きらきら瞬く。

    自分より年は下の、しかし、慕い続ける我が主人(あるじ)。

    かつて、言ったことがある。
    「貴女が望むのならば、
    あのように愚かな姉君達を皆、死へと誘って差し上げますが。」
    自分には、それをできるだけの能力があると自負していた。
    いくつもの戦場を駆け、恩賞と名誉を授かってきた。
    戦いの場で必要なのは、
    力と、想い。
    どれほどの傷を負おうとも、
    この忠誠心さえあれば、成し遂げられるはずである。
    しかし、末の姫は首を横に振った。
    「うまく事が運んだとしても、貴方が罰せられることは避けられません。
    此の国のため、貴方を失うわけには、いきません。
    一時の感情に流されては、なりません。」
    瞳が揺れるので、泣き出してしまうのではと、いつも心配するのだが、
    実母がなくなったその日から、
    彼女の頬を滴が伝ったことは、一度もない。

    その王国は、ずっと戦争を続けていた。
    国境近くの村々が襲われることに慣れてしまった城は、
    軍を現地に派遣することをやめた。
    姫は、声をあげた。
    「それでは国を守ることができません。」
    姉姫は答えた。
    「ならば、貴女がどうにかすればよいのではなくて?」
    民衆の命よりも、パーティーで着飾ることの方が大事な彼女等は
    民がいなくなったらドレスのための布が城に運ばれることがなくなるのだと
    気づかない。当たり前過ぎるから。

    主人はよく頑張ったと、贔屓目ではなく思う。
    与えられた屋敷の財を切り崩して、恩賞とした。
    国のために戦え、とは言わなかった。
    此の国がもう長くないことを悟っていたのだ。
    それでも、
    守りたいもののために、戦い抜いてくれ。と、
    民に武器を与え、鼓舞した。
    いつか、その武器で城に攻め込むのだろうと思いながら。

    私軍を作った。
    側近であり、ボディガードの自分も、前衛として配属された。
    これには、衝撃を受けた。
    自分がいなくなった時、姫を誰が守るのか。
    何時になく、強い口調で主人に反対した自分を
    彼女はいつものあの瞳で、凛と言葉を紡ぐ。
    「貴方は、私のために戦ってくれますか?」
    「はい、姫を守るために、ここにおります。」
    「では、私を守るために、戦いに出てくれますか?」
    敵わない、と思った。

    いつだって、
    姫の意のままに。
    たとえそれが、姫のついた嘘だとしても。
    生まれた時から
    これから生まれてくる世継ぎをお守りするのだよ、と
    それは作り物かもしれないが、
    紛れもない真実だった。

    自分を支える、唯一の。

     

    時は、満ちた。
    寄せ集めで、勝ち続けることができるはずもなく。
    目の前にいるのは、
    一人でドレスを着ることすらままならなかったのに、涙を飲んだ、末の姫。
    賢い彼女には、わかっていた。
    自分も、彼女の言わんとすることが、わかった。
    震える唇が、悲哀の命令をくだす。
    「次の戦場へ、向かってくれますか?」

    王家が出した結論。
    『勝てない戦であるならやめてしまえばいい。』
    それは、
    終わりではないのに。
    属国になるということは、
    兵力を、我が領土から奪い取られることだと
    乏しい資源を搾り取られることだと
    どうして、わからないのか。
    愚かな姉姫は、
    「最後まで責任をとりなさい。」
    と、末姫に言う。
    民衆を説得するのは、お前の仕事だと。
    そして最後に、こう付け加える。
    「随分と時代遅れのドレスをお召しですのね。」

    犠牲が、必要だ。
    降伏を正当化するための。
    さもなくば、民の反乱で
    この国は滅ぶだろう。
    いや、その方がいいのかもしれない。
    国を守りたいのは、姫の勝手な感情だ。
    それでも。

    「貴女が望むなら、
      この身を捧げましょう。」

    曇った顔に、ついに、雨が降った。
    「甘やかさないでと、言ったのに。」
    両手で顔を覆って、嘆く姿が、たまらなく愛しくて
    伸ばせない手を握りしめる。
    「何を今更。」
    ひどく不格好な、精一杯の笑みで、
    「私はずっと、貴女のためだけに戦ってきましたよ。」
    たった一つ、想いを伝えた。

    出来ることなら、
    貴女と共に生きたかった。
    叶わないのなら、
    伝える必要もないだろう。

     

    戦いの地に、雪が降る。
    白い景色に目を閉じて――。

    (嵐:Dear Snow)



    素 で 歌 詞 を 間 違 え て い た ←
    訂正いたしましたっ!!!ごめんなさいっ!!!!
    【 2010/12/09 18:34 】

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