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    らくがきみたいな、つぶやきみたいな
    「佐藤君は、人物画は描かないの?」
    隣を歩く人の肩、その向こうの横顔に問いかける。
    「描くよ。風景画の方が好きだけど、練習はするようにしてる。」
    ゆっくりゆっくり歩く。時間を惜しむ。噛みしめて。
    彼はこう続けた。
    「こんな言い方したら語弊があるかもしれないけど、
    どちらかと言えば女の人を描く方が好き。」
    「どうして?」
    はにかんで笑う横顔を、忘れないよう閉じ込める。
    「ラインが綺麗だから。」
    「ライン?」
    「柔らかいから。」
    わかるような、わからないような。
    「ふぅん。」
    相槌を返して、視線を前に戻す。
    待ちぼうけの手をゆらゆら揺らして。
    「例えば、誰のラインが綺麗?」
    と、聞いてみた。
    「宮野さんとか綺麗。」
    驚いた。
    特別男子に人気のあるわけでないクラスメイトの名前が出てきたこともだが、
    あっさりと答えが出てきたことに、唖然とした。
    この人、女の子を造形の観点から点数つけてたのだろうか。
    そう考えて、
    ありうる。
    と、納得してしまった。
    絵を描くことばかり考えているんだなあと褒めることも出来るが。
    「私は?」
    「え。」
    彼が久しぶりに、こちらを向いた。
    目が合った。
    その困った顔は、何。
    私はランク外ですか。

    そうですか。

    思いきり、顔を背ける。

    ふーんだ。
    別に、怒ってなんかいませんよー。
    スタイルに特別自信なんてありませんからね。
    ええ、そうですよ。

    意図的に、歩幅を広くした。
    それに気づいて、彼もペースを合わせる。
    私の表情をうかがうようにして、
    口を開いて
    言ったことは、
    「ごめん。」
    だった。

    これじゃあ、私が悪いみたい。
    でもだって、ねえ。
    簡単に引っ込められるものじゃない。
    彼の次の出方を待つ。
    ゆらゆら、手がお暇さん。

    佐藤くんは、一生懸命。
    空気で、それがわかる。
    胸がチクチクする。
    前を見て、
    無理矢理視野を狭くして、
    私はまっすぐ歩く。

    そうしたら、
    「ごめんなさい。」
    ゆらゆらしてた手は、彼の両手に捕まった。
    振り返る。
    とくん。
    心臓が鳴った。
    うう、ときめいたじゃないか。
    と、声に出さずに呻いて、
    視線の先、
    彼の伏せた目が、泳いでた。
    指先がひんやり冷たくて、
    少し、驚いた。
    「水瀬さんは、特別で、他の人と違う見方してた、から…」
    語尾に進むにしたがって、彼の言葉は音をなくしていく。
    私の頭に、流れ星が降る。
    漫画みたいな、大きいのが。

    ごめんって、そういうこと。

    私は特別。

    どういう目で、見てた…

    星どころか、夜空も落ちてきて、
    どうしよう。
    私もうつむいた。
    頬が火照って、
    視線が行き場を探す。
    馬鹿みたい。
    二人そろって、同じ顔してる、今。

    鼓動に合わせて呼吸をする。
    止まった頭に酸素を送れば、
    指先が冷たくて、気持ちいいなと思った。
    この指があの優しい絵を描くんだ。
    鼓動が優しくなっていく。
    ぎゅっと、包んで、握った。
    「私の絵、描いてよ。」
    見てみたいと、純粋にそう思って、呟いた。
    「だから、水瀬さんは…、無理だって。」
    彼の言葉を待たずに、
    私が引っ張るようにして歩く。
    前を歩く。
    ゆっくり歩く。
    緩んだこの顔を見られないように。
    「駄目、見てみたい。」
    好きって、こんなカタチも出来るのか。
    丸くて、ふわふわで、甘くて。
    笑みが溢れる。

    愛されているということ。
    だから、私も、彼の気持ちを見てみたい。
    しかし、
    「無理!無理っ!」
    佐藤くんは、今まで聞いたことのない声で、必死に訴える。
    それはまた、私の心をくすぐった。
    「描いてよ。なんなら、今からでも…」
    「俺、水瀬さん、ずっと見てられない!」

    また、予想外。

    夜空に押し潰されそうである。
    心臓が痛い。
    ちょっと、何それ、
    可愛いじゃないか。
    「水瀬さん、可愛いから!」
    「いじめ?報復?」
    とうとう、恥ずかしいメータを振り切って
    私の声も悲鳴みたいだ。
    「だって、水瀬さんが!」
    私達、もう駄目だ。
    完全に、頭に花が咲いてる。
    きっとそんな感じ。

    真っ赤な顔で、
    手を繋いで。

    こんな、馬鹿みたいに幸せな日々も、
    時には、いいでしょうか?


    ***

    リズムが悪い。
    スランプか(^p^)げふん
    【 2010/11/19 00:58 】

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