まんまるな瞳が、じーっ。そんな音が聞こえそうな程、わたしを見つめる。 その双眸は澄んだ青色で、とてもキレイ。 何度も写真で見たことのある、お人形さんさながらの姿。 話に聞いていた通り、とっても愛らしいです。 爛々とした表情で見つめたいのは、こちらの方なのに。 居たたまれなくなって、わたしはついに、手に持ったぬいぐるみで顔を隠した。 「どーしたの?」 少女の声がする。 「ねぇ、ハルカ!」 「わ、わたしは春歌じゃありません!」 「ちがうの?」 「ハイ! わたしは、ウサギのピョン子です!」 ぬいぐるみの手をぴこぴこと動かせば、少女が息を飲むのがわかる。 「ぴょんこ? はじめまして、あたしはエミリー」 レースで飾られたスカートを摘まんで、エミリーちゃんは優雅にお辞儀をする。 そして、満面の笑みを浮かべた。 「ぴょんこ! あたしはハルカに会いたいの」 「…どうして?」 「だって、ナツキのプリンセスだもの」 両手を広げて、ぴょこんと背伸びをしてみせる。 少女は笑って、わたし達二人の様子を見守っていた彼へと振り返った。 「ナツキの言った通り、キュートなプリンセスね」 その言葉に、ぬいぐるみの後ろに隠れたわたしの顔はますます赤くなって。 「もう我慢しなくていいですか?」 「え、えっと…きゃっ」 那月くんに抱きかかえられて、体が宙を浮く。 「~っ、まだ返事をしてないです!」 「ごめんね、待てませんでした! でも僕、すっご~く我慢しましたよ?」 ドキドキし過ぎて、もう、どうしたらいいのか…。 那月くんにぎゅっとしがみついて火照った顔を隠せば、握りしめていたウサギをそっと取り上げられた。 「いらっしゃい、エミリー。これは僕達からのプレゼントですよぉ」 那月くんが膝を折って、小さなお姫様と目線の高さを揃える。 差し出されたぬいぐるみを受け取った少女は、屈託のない笑みを浮かべた。 「ありがと! ナツキ! ハルカ!」
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